仁義無き寄り合い  ー オウムと私 その1

2000/4/8 はじめに 経過 討議 問題 態度 戻る

ご意見、ご感想、心よりお待ち申し上げます。こちらからぞうぞ。

はじめに

平成12年4月7日、午後7時よりフォルム上賀茂管理組合の臨時理事会なるものに出席した。
議題は噂として聞いていたとおり、私の居住する6階601号室のひとつ隣、603号室の住人がオウム真理教の信者であるとの情報をめぐってであった。
これは事前にちゃあちゃさんより聞いていたが、本年度(4月)より理事にはなっていたものの、総会にも出席せず、かつて住民の方々とお付き合いしたこともなかったので、とりあえず静観の態度でのぞむことにした。(ただし、心はワクワク)
このレポートは良識的?穏健派(昔流に言えば小ブル的役立たず)をにんずる私のオウム渦中からの記録である。(人生何が起こるかわからない。)

経過

7時5分前には会議室へ到着した。お集まりのメンバーは3名ほどであったと思う。少し緊張し、日頃の無沙汰を詫び、室名と名前を名乗る。
管理人さんもお見えであったため、紹介してくださる。助かる、ありがたし。
しばらくするとコスモスライフ(当マンションの管理会社)の担当者と京都支店長、2名が来る。さらにしばらくすると組合長さんがお見えになり、総勢10名ぐらいになる。組合長さんは恰幅のある老紳士で、とてもしっかりした雰囲気のあるお人である。私はみなさまから無視されている雰囲気あり。というのはお集まりのみなさんは603号室の住人の件に関しては既知の情報であるらしく、どうも出席している前提が違うみたいだ・・・
で、まず、コスモスライフの京都支店長より経過の説明があった。
3月30日の午前8時30分頃、公安調査庁を名乗る約15名ほどの人たちが管理人さんに603号室への立ち入りを要請した。事態を受けて管理人さんはコスモスライフへ連絡をする。この時点で603号室の住人がオウム信者であることが確定する。
603号室に関しては先の住人の転居届がコスモスライフにあり、2月頃、賃貸契約の知らせを受け、コスモスライフは先の住人である区分所有者に対して603号室の住居人名簿の提出を要請した。この要請は再三に渡り、実行されたのは3月後半で、管理人室の窓口に差してある形であったらしい。賃貸契約内容であったか、ちょっと聞き漏らしたが、コスモスライフが把握している限りでは使用目的にオフィスが明記してあり、4人の男女(各2名)が住居人名簿に記載されている。(当管理組合規定にはオフィス使用は禁じられている。)なお、2月頃(603号室住居人引っ越し後)から当マンション近辺に警官、公安スジと見られる不審人物、パトカー等見受けられるようになった。コスモライフ担当者2名はこの理事会へ出向く前、上賀茂署へ行き、603号室の住人がオウムであるのか、問いただしたの対して上賀茂署は明言はしなかった。ただし、3月30日の公安調査庁の立ち入りは当マンションの住人何名かにもわかり、新聞でも全国一斉のオウム支部に対しての立ち入り調査であることが報道され、今回の緊急理事会になった・・・603号室の区分所有者に対してはオウムシンパの可能性もある・・・

討議

この説明を受け、まず503号室(603号室の真下、理事会役員ではないと思う。以下、503と略称)の住人から管理会社の態度に対して不満の表明があった。
また、実害(深夜より振動音、ドアの開閉音、主として騒音被害)の実体についてお話があった。次に604号室(603号室の隣、明るく軽い感じの射手座か、魚座の雰囲気、この人も理事会役員ではないと思う。以下、射手座の604と略称)の住人からも管理会社への不満、さらに単独に警察へ出向いた旨、長時間に渡ってお話あり。
私が思うに、503も射手座の604の発言も、3月30日以前以後を混同されてお話しされている。オウムであることがわかったのは少なくとも3月30日早朝以降である。
うけて組合長さんがこの問題に対して管理組合の態度としてはふたつある、協調されるなら住むことを認めるのか、オウムを理由に排除するかだ、それをはっきりしなくてはならない。
何故かわからぬまま、後者になった・・・しかも裁判想定で直接接触が討議に上がらない。伝言は後のために文書を通じてしておく必要があるというわけだ。
私が思うに騒音に関しては直接言うべきだと思う。相手が聞くかどうかは言ってみてはじめてわかることである。しかし、排除が理事会の態度であるなら、こういう意見はあまり意味がないので黙っておく。
コスモスライフの担当者2人は山科ハイツの判決文を用意し熟読しているみたいで、わりと冷静に事態を受け止めているみたいだ。
以下、まとめ、

  1. まず、603号室の区分所有者に対して賃貸契約解除の要請を内容証明付き郵便でする。(この結果が大事であると思う。)
  2. 603号室の住人に対して文書で騒音被害の改善を求める。(直接、会えよな!会いたい!)
  3. 警察へ経過説明と協力要請をする集まりをもうける。
  4. うけて経過を説明する臨時の総会を開く。

以上、だいたい午後10時終了。
本日、一番冷静、なおかつ自然であった人。それは現在、唯一オウム住人なる人たちと直接会話をしている管理人のHさんであった・・・

問題

今朝(4月8日)から上記の問題をめぐってインターネットでオウム関連のページをあたってみた。
調べてみると住民サイドの情報提供はほとんどないと思う。オウム側、あるいは市民派(主として破防法対策)サイドの手になるものが多い。
そこで先にもでたがまず、山科ハイツの判決、並びに大阪高裁の上告棄却判決があったので目を通した。
山科ハイツの訴訟は公共の利益を盾にまさしくオウム住人に退去を求めるものである。山科ハイツでは区分所有者がオウムシンパであった。
我々と若干(大きく?)違う点は山科ハイツでは管理組合規約に住居専用をうたっていない点である。判決は住民側の勝利である。
山科ハイツにおける弁護側の主張は

  1. オウムの信仰自体は自由である。
  2. 住居人はオウム真理教の支部としては部屋を使用していない。
    しかも山科ハイツでは住居以外の使用(例えば事務所)を禁ずる管理規約はない。
  3. したがって不特定多数の住居使用にはならない。
  4. オウム真理教に対する住民の不安に関しては事実として認める。が、その解消のため、部屋への立ち入り、カメラの使用等、管理組合に対して認めている。
  5. したがって公共の利益に反した事実はない。

ざっと目を通した場合、こんなもんかと思う。
驚いたことに自称良識的?穏健派である私の態度はほぼこれと同じ考えをしている。
ただし、実体としては判決は支部であると住民側の主張を認めている。しかし、実体は別にして不特定多数の住居入室の確定は難しいとは思う。
ここらから拡大解釈を生む余地が生まれ、破防法適用の事実的な状況を危惧する良心的弁護が生まれてくる。
破防法を意識した市民サイドのオウム信者擁護(小生の態度もそれに近い)が危ういのは、破防法自体の歴史性にある。
たぶん、破防法自体が驚いているのである。
市民社会の成熟?とマルクス主義(ヒューマニズム)の終焉後の世界史的状況の中で、無差別テロ(サリン、あるいは絶対的な否定?)を容認できる言葉があるのか。つまり、もし破防法自体が市民派の依拠する個人の自由を守るための最終の砦であるとするなら、事態は堂々巡りになるのではないのか。
しかも事実として一緒に生活できないというのは成立するような気もする。
私は、あらゆる社会の事象に対して、自立した個人(個人が自由になにものにも依拠せず自分で判断する)が、それぞれの違いを認め合い、判断し生活する社会の到来を心より願うものであるが、自立する個人が守らねばならぬ絶対的な指標があるのか、無いのか、あるいはそもそもそのような指標を歴史は生み出してきたのか、ついては皆目分からないものです。
しかし、オウムの人たちはどこで生活するのか。よくわからん?

態度

つーことで?私は良識的?穏健派のままさまよい、管理組合の態度に歩調を合わし、この問題に対処いたします。
しかしながら、マンションの資産価値が下がるとか、けっこうこの意見を言う人がいることに驚いた。バブルを過ぎてもコリンというか、たくましいというか。
イヤハヤ、いささか、あきれるのである。資産価値などは「生活」とは関係ない。
しかし、総会でどんな意見が出るかはけっこう楽しみではある。
次回は4月12日上賀茂署との会合後を待て!

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